今回はブロックチェーンゲームで話題になっているトークンの規格「ERC-1155」について紹介します。
ERCって?
そもそもERCってなんでしょう?
ERCとはEthereumベースのトークンの標準インターフェスです。
簡単にいってしまえば、Ethereumベースでトークンを発行するときのルールです。
またERCはEthereum Request for Commentsの頭文字をとったものです。
これまでの仮想通貨では、
- 取引所、ウォレットにおいて技術面が開発元で異なる
- ICO参加者に対して、個々のトークンの安全性がつかめない。
という問題を抱えていました。
イーサリアムでERCとして規格を決めてしまうことにより、仮想通貨の乱立を防ぎ、ユーザーの安全性を保つことができるというわけです。
次々に規格が増える中で今回は「ERC-1155」について紹介します。
これまでのブロックチェーンゲームにおけるERCの流れ
多くのブロックチェーンゲームのデジタルアセットはERCの規格で作られています。
特にゲームに影響を与えているトークン規格は、
- トークン自体を発行する「ERC-20」
- ERC-20を誤ってコントラクトアドレスに送金してしまい、トークンが消滅する欠陥を解決した「ERC-223」
- ノンファンジブルトークン(代替不可能トークン)によって個々のデジタルアセットの多様性を実現できる「ERC-721」
そして今回紹介する「ERC-1155」です。
それではERC-1155がどのような規格なのか説明していきます。
複数のデジタルアセットをグループ化させて手数料を安くする!
これまでのトークンの最大の問題点は一つひとつのアセットにブロックチェーンを適用しないといけまないことにありました。
実例としてブロックチェーン上のデジタルアセットを他の人に送ろうとするとトランザクション手数料が発生します。
1つのアイテムを送るたびに、1回トランザクションが発生します。
簡単な例として、6人家族が新築に引っ越すとき、これまででの方法だと1人ずつ新しい家へ送迎する感じです。
イメージとしては以下のような感じ。

イメージとしては以下のような感じ。

これでは非効率です。
そのため、複数のデジタルアセットをグループ化させて1回で送ってしまおうとする規格がERC-1155です。
さきほどの6人家族の例で示すと、ERC-1155であれば6人家族を一つのグループと見て1回の自動車で送迎できます。


別の言い方をすれば、送料のコストダウンができたということになります。
このシステムを開発し公開したのはEnjin開発者のWitek Radomski氏という方ですが、トランザクション手数料を安くするためにこのようなところに気付き、開発したのは天才ですね…。
ファンジブルとノンファンジブルの組み合わせが可能に!
ERC-1155の一つの規格でファンジブル(代替可能)トークンとノンファンジブル(代替不可能)トークンを使い分けることができるようになりました!
メモ:ファンジブルとノンファンジブルファンジブルとは、二つのモノがあったときにそれらが同じモノであることです。日本語では代替可能といいます。例えば、1000円札が2枚あった場合、新札とシワが入ったような使い古したお札があった場合でも価値としては同じということです。ゲームだと、アイテムやお金はファンジブルであるべきです。ERC-20トークンも当てはまります。ノンファンジブルとはキャラクターの個性や多様性のことで、日本語では代替不可能といいます。ERC-721のトークンがノンファンジブルです。
これまではERC-721のトークン規格でノンファンジブルが再現できていましたが、
ERC-1155のトークンアイテムは代替可能か不可能かが使い分けられるようになりました。
プレイヤーとしては恩恵が少ないかもしれませんが、ERC-1155のSDK(開発キット)が配布されていることもあり、ゲーム開発者としては開発コストを大幅に下がっているようです。
まとめ
ERC-1155によって、トランザクション手数料と開発コストダウンが可能になりました。
プレイヤー視点として、これまでのブロックチェーンゲームはトランザクション手数料の高さが課題となっていました。
それを解決するブロックチェーン技術としてERC-1155が登場しました。
またさらにコストダウンとなる技術が登場するかもしれません。
一つひとつブロックチェーンゲームに関する技術を追っていこうと思います!